最近、年金が危ない、足りないとよく聞くと思います。ご存知のように、現在の日本は少子高齢化になり高齢者の年金を支える人の数が足りなくなっています。つまり、それが根本的な問題です。しかし、誰の老後の生活がどれくらい脅かされるのでしょうか?具体的にはどういう状況で、将来的にはどう変わっていくのでしょうか?
■問題のきっかけ
2019年から現在(2020年)にかけては世間的に大きな注目を集めています。
この理由は、2019年に「老後の年金が2000万足りない」ということを金融庁が「金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書」にまとめたとの報道されたことによります。
ちなみに、実は年金に関する問題は今回のことが初めてではなく、過去にも存在しています。
それは2007年のこと。約5,000万件の年金記録漏れが判明し誰が納めたのかわからない年金が大量にあることがわかりました。つまりその誰のものかわからない年金の金額分を損する人が出てくるということです。そして、その内2,000万件は未だに支払い者を特定できていない状態のようです。
しかし、それも今では話題に挙がらず忘れ去られています。今回の「老後2000万円問題」もこのように忘れ去られるのではないでしょうか。世間の注目がなくなっても自分自身の中にははっきりと残しておきたいものですね。
■具体的な状態
報告書の内容として以下のようなことが記述されていました。
夫65歳以上、妻60歳以上の夫婦のみの無職の世帯では毎月の不足額の平均は約5万円であり、
まだ20~30年の人生があるとすれば、不足額の総額は単純計算で1300万円~2000万円になる。
■報告書の内容に関する考察
この報告に対してSNS上では
「年金保険料を払わせるだけ払わせておいて、もらえないのは詐欺だ!」
「2000万円を自助努力で準備しろというのか!」
といった意見が出ていました。
これらに関して、「老後資金は2000万円必要」という言葉が独り歩きしてしまったのが原因だと考えられますが、年金を「もらえない」わけではありません。
しかし、自助努力の項に関しては、実は老後2000万円さえ調達すれば、必ずしもなんとかなるわけではないということが予測できます。
この報告書から算出されている不足額は、総務省の家計調査における「高齢夫婦無職世帯」の1ヶ月の平均収支から推算されているもののようです。その平均では支出が約26万円となっています。
下記の表を参照すると、平成31年度の年金額は、国民年金受給者で1ヶ月65,008円(これは1人分なので夫婦世帯では130,016円)、厚生年金で221,504円となっております。平均収支や「毎月の不足額の平均は約5万円」との記述から、報告書でのモデル世帯は厚生年金加入世帯となります。つまり、国民年金受給者は老後の不足額が2000万円より遥かに多く必要であるということになります。
具体的な額としては、4700万円ほど必要ではないのかと考えています。
以上のように、厚生年金を受け取れる世帯は、支出をある程度までに抑えることができれば平均寿命まで2000万円ほどの金融資産を保有することにより問題を抱えることはなくなると考えられます。
しかし、国民年金を受け取る世帯は不足額がその倍以上となりますので、この対策は早めに、そしてシビアに考えなければならないでしょう。
■本来、報告書が伝えたかったこと
実は今回の問題は報告書が伝えたかった事柄とは大きく違っていました。この報告書の目的は2つあります。1つは、年金に加えて自助としての長期資産形成を促す提言、もう1つは日本の金融業界に対して課題提起です。つまり、金融審議会は国民を見放すというより、資産形成を勧めることにより応援したというニュアンスとして捉えるのが正しいと思います。
■最後に
とはいっても、老後の生活水準を下げない限りやはり年金のみで生活するのは不可能です。それに関して、絶望されている方もいらっしゃるかもしれません。そのため、やはり早急に対策を打つ必要があります。そして、正しい対策を打てば必要以上に心配することはありません。対策の方法はいくつもあると私は考えており、一人ひとりの価値観や生活スタイルに合わせて方法を選べば心配いりません。
今後、このブログではどうすれば年金の問題から逃れられるかや、さらに豊かに生きるためにはどうすればよいかを書いていきます。
今後ともどうぞよろしくおねがいします。
参照先
・金融審議会 市場ワーキング・グループ報告書
・まぐまぐニュース!第一線の専門家たちがニッポンに「なぜ?」を問いかける
・わらしべ瓦版
・老後 2000万円問題 プロの立場から一考察
・平成 31 年度の年金額改定についてお知らせします - 厚生労働省・高齢者の生活実態 - 厚生労働省
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